マスター講座 初級編 - まだPBWを知らない方へ -
●はじめに
プレイ・バイ・ウェブ(PBW)のマスター(MS)に興味を持っていただきありがとうございます。本項を担当します、ムジカ・トラスと申します。ここでは「PBWのマスターのことはまったく知らない」という方向けに、マスターとは、そして、マスター業務とは何なのかを簡単に説明させていただきます。
マスターとは、簡単に言うと「お客様が作成したキャラクターを登場人物とし」、「リプレイという物語調の文章を書き」、「お金をいただく」というお仕事です。
誰かが生み出したキャラクターを預かる点、そして個人のお客様からお金をいただくという点で一般的な小説、Web記事、通常のゲームシナリオの執筆とは異なる部分があります。
そうした、マスター業と一般的なライター業との「違い」を中心に解説していきますので、しばらくの間お付き合いくださいませ。
●マスターとは?
マスターの業務について触れる前に、マスターとなった「あなた」に発注するお客様……「プレイヤー」について、お話させてください。プレイヤーは、架空の世界設定の中でキャラクターを作り、そのキャラクターを通じて世界の謎を解いたり、強敵に挑んだり、交流をしたりします。そういったゲームとしての基本的な部分は、一般的なMMORPGと変わりません。
しかしPBWでは、各キャラクターの挑戦や活躍、生活の様子が映像ではなく、物語(文章)として描かれます。それが、マスターが担当する「シナリオコンテンツ」です(これについては後述します)。つまりマスターとは、プレイヤーが作成したキャラクターを登場人物とした短い物語(シナリオ)を書き、それらを積み重ねることでゲームの世界を少しずつ動かしていく存在です。
マスターが一般的なシナリオを公開し、プレイヤーがそのシナリオに参加したとします。この時、プレイヤーは一人のキャラクターあたり1000円から1500円を支払います。これは、プレイヤーが一つの遊びに投資する額としては、やや多い額とも言えるでしょう。
プレイヤーが、そのお金を支払い、マスターである「あなた」に何を依頼するのか。
それは、あなたのシナリオに「挑戦する体験」であったり、自分のキャラクターを通じて得られる「勝利の体験」であったり、「誰かとの交流の体験」であったりします。
それらの体験を提供することが、他ならぬ「マスター」のお仕事の核です。
プレイヤーが求めているものが何かを知ることが、マスター業において最も重要なことといっても過言ではありません。
まとめ
プレイヤーが何を 求めてマスターのシナリオに参加するのかを意識する!
●マスターの業務内容とは?
以下に、マスターの業務の流れをお示しします。マスターは、
1.「シナリオを作ってプレイヤーに参加してもらい(オープニング)」
2.「提出されたキャラクターの行動内容(プレイング)をもとに判定(マスタリング)を行い」
3.「文章を書く(リプレイ)」……という流れで業務を行います。
最初の工程では、オープニングという短い文章を書きます。内容としては、本編に対する予告編のようなものです。
シナリオの中でこれから起きる事件や関係する物、人物などを描写し、プレイヤーの興味を惹く事が目的です。
続く工程はプレイングを受け取る事ですが、ここにマスターの仕事はありません。
オープニングを読み、このシナリオの本編に登場したいと願ったプレイヤーたちが、自分のキャラクターの参加処理を行い、そのキャラクターがシナリオ内でどのように行動したいか(プレイング)を書く段階です。
プレイングは、キャラクターの情報部分と、描写方針の希望を書く自由記述部分の2つからなります。
プレイングは、おおよそ一週間程度でマスターの手元に届きます。
マスターはこのプレイングを受けて、内容の取捨選択をしながら本編を取りまとめる事になります。
この工程で作成する文章をリプレイと呼びます。
ここに関しては「完成を待っている人がいる」点から締切があり、おおむね一週間程度となっています。
そして、上記全ての工程を経て完成する1つの物語を、シナリオと呼びます。
PBWのシナリオの特殊な点について、お分かりいただけたでしょうか。
通常の小説はあくまで個人作業ですが、シナリオの場合は制作の途中で他人の意思や視点が入ります。
プレイングを元にストーリーを組み立てる過程は、一般的な記事や小説を書く際には存在しない場合が多いでしょう。しかし、それだけに、参加したプレイヤーの喜びにダイレクトに繋がりやすい仕事でもあります。
まとめ
シナリオには「オープニング」「プレイング」「リプレイ」の3つの工程がある。
・オープニング:これから起きる事件などを描写し、興味を惹いてもらうための文章を書く
・プレイング:オープニングを読んで参加したプレイヤーが行動指針を書く
・リプレイ:プレイングを受け取ったマスターが、文章を書く
●マスターとアルパカコネクトの関係
実際にオープニングやリプレイについて説明する前に、マスター業務に関わる人たち、とくに密接に関わることになるであろう、アルパカコネクトについて説明します。アルパカコネクトは、キャラクターたちが生きるゲームの世界を作り、それを更新し、各種コンテンツ・受発注の管理などをするのが役目です。
プレイヤーからのご意見、ファンレターや苦情などをマスターやクリエイターに伝える事もあります。マスターやクリエイターの考えた企画や設定を世界に反映していく事もあります。
キャラクターたちの物語やイラストなどを、他のプレイヤーたちに紹介する事もあります。マスターの試験を監督するのも、大事な事を伝達したり、指導を行うのもアルパカコネクトの仕事のひとつです。
プレイヤーとクリエイター・マスターの間のお金のやり取りを仲介するのもアルパカコネクトの大事な仕事です。
役割上、リテイク(書き直しの要望)などマスターにとって厳しい事をお伝えする場合もありますが、同じ世界を作る仲間です。わからない事があった時などは、気軽に質問していただければと思います。
まとめ
困ったら運営(アルパカコネクト)を頼ってください!
●マスターの決まりごと
PBWの世界にはマスターが複数所属しており、お客様にそれぞれシナリオを提供します。 書き手が複数いるというのが、PBWの特殊な点の一つです。ですので、マスターにはシナリオを作成し、オープニングやリプレイを書く際に守るべき最低限の決まりごとが存在しています。それほど難しい事ではありませんし、数も多くありません。以下に代表的な決まりごとを書きます。
- 弊社が定める書式に則ること。
- 差別的表現を避けること。
- 読む人を不快にさせる表現を避けること。
- たとえば、読み手を選ぶような過剰な性描写や暴力描写は控えましょう。
- 誤字、脱字などの不注意によるミスを減らすよう心がけましょう。
- 提出したリプレイの修正要望が来た際には真摯に受け止め、必要に応じて修正を行うこと。
- お金を頂いた上での納品である以上、修正が妥当である場合はアルパカコネクトからの指示に従い修正をお願いします。
- 「シェアードワールド」であることを認識し、世界観の破壊・逸脱を防ぐこと
- PBWは、プレイヤー、クリエイター、マスター、運営がそれぞれ世界観を共有して遊ぶコンテンツです。独断で世界観を損なわないよう、ご注意ください。
慣れないうちは、あなたのシナリオをチェックする人(アルパカコネクト、シナリオチェッカーさんなど)の意見を聞いてみるとよいでしょう。
まとめ
書式や、扱う内容などに注意点があります。
●終わりに
ここまで、マスターに関わる基本的なことについて説明しました。今回、あえてオープニングの書き方や、オープニングに何を書くべきかや、リプレイをどのように書くのかについては詳しく取り上げませんでしたが、マスターの仕事の流れなど、概要はおわかりいただけたでしょうか。
マスター業は、コツさえつかめばシンプルなお仕事です。一方で、自らにないプレイヤーの発想やキャラクターの輝きが、予想もつかない展開や、感動を呼ぶリプレイにつながることもあります。他ジャンルの執筆活動とは異なる体験が、そこにはあります。
もし、マスター業を始めてみようと思っていただけたなら、「マスター講座 実践編」もあわせてお読みください!
難しい内容ではなく、マスター試験、それからマスター業務のためのエッセンスを掲載しています。
あなたとともに物語を紡げる機会をお待ちしております!
■マスター講座実践編へ
マスター講座 menu
0.初級編 - まだPBWを知らない方へ -
1.実践編その1 - MS業務概論 -
2.実践編その2 - オープニングについて -
3.実践編その3 - プレイングについて -
4.実践編その4 - マスタリングについて -
5.実践編その5 - リプレイについて -