マスター講座 実践編その4 - マスタリングについて -

●はじめに

 こんにちは、前頁に引き続き担当させていただきます、ムジカ・トラスです。
 今回は、マスター業が一般的なWebライター業や小説執筆業と異なるとされる理由の最たる部分「マスタリング」についてご説明します。
 一般的に、Webライター業では記事のテーマが指定され、自分で調べたり、編集者と相談しながら記載すべき内容を決めていきます。また、小説において骨子とよべるストーリーを決めるのは他ならぬ作家自身です。しかし、マスタリングの工程では、「シナリオの展開≒プロット」を「あなた以外のひとが用意したプレイング」を元にして作り上げる必要があります。

 とはいえ、構える必要はありません。
・マスタリングにおいて、用いるべき「ルール」があること。
・マスタリングに用いる「プレイング」は、あなた自身が用意した「オープニングに対して書かれている」こと。
 この2点が、マスタリングのハードルをぐっと下げてくれますので、ご安心ください。


●マスタリングの内容

 狭義的には、プレイングを元にした成否判定をおこなうことを「マスタリング」といいます。
 より広い意味では「プレイヤーから提出された行動指針(プレイング)をもとに、マスターが判定作業を行い、行動内容やステータス、設定、そのワールドのルールなどをもとに、プロットを作成すること」を指します。

 マスタリングでは、ルールに則って実際にキャラクターを行動させていきながら、様々な行為の「判定」を繰り返していくことになります。

1.ルール的マスタリング

 例えば戦闘におけるマスタリングでは、攻撃が命中したかどうかや、ダメージはどの程度かという「判定結果」を積み上げて記録していきます。

 この時の行動の主となる部分は、プレイングに書かれている内容を参考にしつつ、ストーリーが進む中で必要が生じれば「キャラクターが(当たり前に)とるであろう」行動を加えても構いません。その「判定結果」を元に戦闘がどのように進行したのかを、プロットとして整理します。

 これらはあくまでもルールに則った処理になるため、誰が見ても妥当な内容であることが最低限の条件です。

2.ルール外の判定

 ルールに沿って判定できない行動については、マスターの判断が必要になります。
 たとえば、「自暴自棄になっている人物への説得」や「事件現場の調査」などでは、プレイングに書かれた行為が実現可能か、その成否をマスターが判断します。
 マスターやシナリオの内容によって裁定基準が異なるため、プレイヤーの想定している状況や背景、結果の予測と乖離するケースも見られます。マスターとして悩みやすい部分の一つでもあるため、次項「マスタリングの注意点」を参考にしてください。

3.状況の変化・対応

 マスタリングを進めるにつれて、シナリオの状況は刻々と変化していきます。
 例えば、キャラクターと対峙していた敵が窮地に陥ったなら、逃げ出そうとしたり、誰かを人質に取ろうとしたり、状況に応じた行動を取らせるほうが自然な場面もあるでしょう。そういった登場人物たちの『変化』や『対応』については、都度マスターが検討する事項です。
 これは諸刃の剣で、使い方を誤るとプレイヤーが不満を感じることがある一方、適切に用いればシナリオを面白く仕上げることができます。

 ただし、それらの状況変化は「オープニングから予測可能である」ことが絶対条件です。
 プレイヤーは、「プレイングを出す段階で全く予想できないこと」に対して新たにプレイングを提出することはできませんし、既に提出したプレイングを変更することもできません。

 プレイヤーの中には、状況変化を予測し、それに対応する行動指針を書くことで目的を達成する――という遊び方をされる方も数多くいらっしゃいます。「PBWがゲームである」ことを踏まえると、これらの「マスタリング内での変化・対応」をオープニングからプレイヤーに予期してもらい、シナリオをより良い形で達成に導いてもらえることが、理想的であるといえます。

 これら3つのマスタリングを組み合わせ、繰り返していくことで、シナリオのプロットが自然と出来上がっていきます。

●マスタリングの注意点

 マスタリングにおける注意点は大小様々ありますが、マスター試験において、それから、マスター活動を初めてすぐの時期において重要な要素として、以下の4点があります。

 1.プレイング内容を否定しない
 2.プレイングにこめられた意図を読み取る
 3.参加PCの間で大きな能力差がある場合
 4.採用してはならないプレイング

 それぞれ説明いたします。

1.プレイング内容を否定しない

 あなたがオープニングを用意したとき、漠然と想定しているシナリオ展開があるかもしれません。しかし、そのために「プレイング」をないがしろにすることは絶対にあってはなりません
 プレイングの中には、オープニング作成時には思いもしなかった素晴らしい結末を引き出すものもあれば、逆に、シナリオを失敗させてしまうものもあるでしょう。
 当初想定していた展開と異なってしまうからといって、マスターはそのプレイングを無視してはなりません。それをしてしまった場合、その時点であなたが提供するものは「PBWのシナリオ」ではなく、「他人のキャラクターを使ってあなたが好き勝手に書いた小説」なってしまい、多くの場合でプレイヤーの信用を損ねてしまいます

 もちろん、リプレイの文字数やシナリオの状況変化の関係などの理由で、すべての行動を採用することができない場合もあります。しかし「採用できない」ことと「採用したくない」ことは全く違います。プレイングに書かれていることはプレイヤーがキャラクターにやらせたい行動であること、そのために貴方にお金を支払い、シナリオに参加していることを念頭においてください。
 そのシナリオの結末がマスターにとってどんなに予想外で、どんなに苦い内容であったとしても、誠実にプレイングを扱うことは将来的に必ずプラスに働きます

2.プレイングにこめられた意図を読み取る

 プレイングには、実際にキャラクターが行う行動以外に、セリフや心情といった様々な内容が含まれています。それらを通して、マスターは「プレイヤーがその記述に込めた意図」を読み取る必要があります。
 実際に判定を行う中で問題になるプレイングの1つに、世界観にそぐわない言動があります。

 たとえば、何らかの依頼を引き受けたキャラクターの一人が、貧しい依頼主に配慮して「報酬は少なくてもいいが、うまい飯が食えたらそれでいいさ。俺は何よりもギンシャリが好きでね」というセリフを言いたいとしましょう。
 お米が存在しない世界観だった場合、「ギンシャリ」をそのまま採用することはできません。しかし今回のケースでは、「貧しい依頼主に配慮した」という点が、プレイングにおいて最も重要なポイントです。そのため、「俺は何よりも出来たての飯が好きでね」など世界観に合った表現に書き換え、「気さくでやさしいキャラクター」としての描くことが望ましいでしょう。
 このように、プレイングに多少の不備があったとしても、そこに籠められたプレイヤーの意図を読み取ることで、自然なマスタリングを行うことができます。

3.参加PCの間で大きな能力差がある場合

 アルパカコネクトのPBWでは、プレイヤーのキャラクターとして登録されているキャラクターは誰であってもあなたのシナリオに参加することができます。
 「とても強いキャラクター」と、「登録したばかりのキャラクター」が同時に参加することもあります。このような場合、「登録したばかりのキャラクター」に対して、能力の差を理由に全く活躍できなかった、というマスタリングを行ってはなりません。逆もまた然りで、能力値が高いことだけ理由に特別な活躍をした、というマスタリングも適切ではありません。
 ステータス以外にも、キャラクター一人ひとりの行動を可能な限り肯定的に評価しましょう。

 コツとしては、すべてのキャラクターに『役割』と『活躍』を意識することです。PBWのシナリオはその性質上、一人のキャラクターだけで成功させることは困難です。それぞれのプレイングを尊重しながら、シナリオ内における役割を評価し、マスタリングすることで、キャラクター一人ひとりに活躍の場を用意することができます。

4.採用してはならないプレイング

 以下のようなプレイングは採用してはいけません。

・第三者の権利を侵害する記述が必要な行動
 そのプレイングを採用することで第三者の権利、または各種法規を侵害してしまうケースです。

・公序良俗に反する行動
 公序良俗に反する行動(過激な性描写、過激な残酷描写)や、差別的発言・表現をしなければ成立しないプレイングです。

・実行不可能な行動
 たとえプレイングに書かれていたとしても、キャラクターの能力や時間的な制限などにより、実現が不可能なプレイングです。そのようなケースでは、先述の「2.プレイングの意図」を意識したうえで、「それが不可能であるなら、どのように行動するのが自然か」をマスターが検討する必要があります。

・キャラクターに著しい不利益があり、プレイヤーがその不利益に気づいていないと感じられる場合、または、他のキャラクターやプレイヤーに著しい不利益を与える行動
 プレイヤーにとって、キャラクターは自分が大切に育てたかけがえのない存在です。
 プレイングに書いた内容を実行することで、結果としてキャラクターがカッコ悪い姿をさらしてしまったり、その世界の中で著しく名誉を傷つけられたりした場合、プレイヤーがショックを受けてしまい、ゲームに参加することを止めてしまうこともあります。

 とても判断が難しいところですが、リスクを理解したうえで書かれたプレイングであることが読み取れる場合は、厳粛にマスタリングを行っても構いません。しかし、その不利益に気づいていないと感じられる場合は、プレイングの該当部分を不採用にすることも必要です。

 また、特定のキャラクターの行動が他のキャラクターの不利益に直結するような場合、その行動を不採用にすることも検討しましょう。
 たとえば、「気に入らない味方を去り際に暗殺する」といったプレイングは不採用にすべきです。

●おわりに

 マスタリングは適切なリプレイを書くためになくてはならない工程ですが、マスターにとっては判断の連続でもあります。 マスター試験にパスした後は、意識的にマスタリングしやすいシナリオを作成し、徐々に慣れいくとよいでしょう。

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